先ほど診療所で聞いたMRIの検査結果を、実家で母に話すことにした。
食卓に座りながら、
「子宮腺筋症と子宮筋腫があってね、
治療法は、薬を続けるか、いっそのこと子宮を全摘出するか、どちらかになるみたい」
と告げた。
母は、聞き慣れない「子宮腺筋症」という言葉を紙に書こうとしていたが、
「腺」の字を「菌」と書いていた。
「それ違うよ💦」
「え?ばい菌が入ったんやないの?」と母。
「いや、それも違う〜😭💦」と私。
説明しながら、思わず笑ってしまう。
話し終えると、母は
「それなら、手術して取ったほうがいいね」とあっさり。
「……あ、うん。そのつもり」と私も答えた。
母が思っていたよりも動揺していないことに、少し驚いた。
でもよく考えたら、すぐ隣のマッサージ機でくつろいでいる父は、
過去に何度も手術や入院を経験している人。
母にとっては「手術」も、それほど大ごとではないのかもしれない。
母は「また来月、県病院にかかったら教えて」と言い、
私は「うん、わかった」と答え、
愛犬をもう一度なでて、帰ろうとしたそのとき――
父が言った。
「仕事、行ってるのか?」
「いや、行ってない」
「なんで?」
「?!」
……え?今、母とその話してたんだけど?すぐ横にいたよね?
思わず絶句。
父は耳が遠くて、そもそも人の話をあまり聞こうとしない。
いつも母とのケンカの原因は、それだった。
それをわかっていても、ついモヤモヤする。
だからこう言った。
「母さん、悪いけどまた父さんに説明しといて」
そう言い残し、私は実家をあとにした。
